大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

松江地方裁判所 昭和56年(わ)134号 判決

本店所在地

島根県川郡斐川町大字直江町三八六〇番地

河原コンクリート工業株式会社

右代表者代表取締役

河原黎己

本籍

島根県川郡斐川町大字直江町三八六〇番地

住居

同 県同 郡同 町大字直江町三九七〇番地

会社役員

河原黎己

昭和八年九月二〇日生

右の者らに対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は検察官平山昭二出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人河原コンクリート工業株式会社を罰金八〇〇万円に、被告人河原黎己を懲役一〇月に処する。

被告人河原黎己に対し、この裁判確定の日から三年間その刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人河原コンクリート工業株式会社(以下被告会社という)は、島根県川郡斐川町大字直江町三八六〇番地に本店を置き、コンクリート製品製造販売等を営業目的とする資本金一、二〇〇万円の株式会社であり、被告人河原黎己は、被告会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括しているものであるが、被告人河原黎己は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上の一部を除外するなどの方法により所得を秘匿し、

第一  昭和五二年七月一日から同五三年六月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が六、三七一万四、一四七円で、これに対する法人税額が二、四一七万九、六〇〇円であったにもかかわらず、同五三年八月三一日、出雲市今市町所在の所轄出雲税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一、八二一万二二七円で、これに対する法人税額が五九九万二、〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、同会社の右事業年度の正規の法人税額と右申告税額との差額一、八一八万七、六〇〇円を免れ

第二  昭和五三年七月一日から同五四年六月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が六、八〇三万八、三五四円で、これに対する法人税額が二、五七八万四、四〇〇円であったにもかかわらず、同五四年八月三〇日、前記出雲税務署において、同税務署長に対し、所得金額が三、四二九万八、七九三円で、これに対する法人税額が一、一八二万三、二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、同会社の右事業年度の正規の法人税額と右申告税額との差額一、三九六万一、二〇〇円を免れ

第三  昭和五四年七月一日から同五五年六月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が六、四七三万一、七一四円で、これに対する法人税額が二、五八七万八〇〇円であったにもかかわらず、同五五年八月二九日、前記出雲税務署において、同税務署長に対し、所得金額が三、九二七万六、〇四八円で、これに対する法人税額が一、五六九万五、六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、同会社の右事業年度の正規の法人税額と右申告税額との差額一、〇一七万五、二〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全事実につき

一、被告会社代表者兼被告人河原の当公判廷における供述

一、被告人河原の検察官に対する昭和五六年七月二五日付供述調書(九枚の分)

一、被告人河原の大蔵事務官に対する昭和五五年一一月二六日付、同月二八日付、同月二九日付、同年一二月一九日付、昭和五六年四月一日付各質問てん末書

一、鎌田敬、渡辺怜之の検察官に対する各供述調書

一、鎌田敬(昭和五五年一一月二六日付、同月二八日付)、渡辺怜之(昭和五五年一一月二六日付、昭和五六年三月三日付)の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一、大蔵事務官作成の調査事績報告書五通(検三〇号、三二号、四四号、四七号、五一号)

一、押収にかかる法人税決議書綴一綴(昭和五六年押第六九号の一)

判示冒頭の事実につき

一、登記官作成の登記簿謄本

判示第一の事実につき

一、被告人河原の検察官に対昭和五六年七月二五日付(一七枚の分)、同月二九日付(三枚の分)各供述調書

一、黒目武の検察官に対する供述調書

一、鎌田敬(昭和五五年一二月一八日付)、黒目武(昭和五六年二月一〇日付)、山本清勝、和田礼二、原靖二の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一、原靖二作成の上申書

一、大蔵事務官作成の調査事績報告書九通(検二九号、三一号、三三号、三五号、三八号、三九号、四〇号、四一号、四八号)

一、大蔵事務官作成の脱税額計算書(昭和五三年度の分)

一、押収にかかる袋入決算関係書類(第一四期)合計二袋(昭和五六年押第六九号の二、同号の四)

判示第二、第三の事実につき

一、飯野正悦の検察官に対する供述調書

一、飯野正悦、野口昌訓の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一、大蔵事務官作成の調査事績報告書七通(検五七号、八〇号、八二号、八三号、八八号、九〇号、九三号)

一、押収にかかるメモ一枚(昭和五六年押第六九号の九)

判示第二の事実につき

一、被告人河原の検察官に対する昭和五六年七月二九日付供述調書(一五枚の分)

一、被告人河原の大蔵事務官に対する昭和五五年一一月二七日付、昭和五六年三月七日付各質問てん末書

一、黒目武、高橋寿男の検察官に対する各供述調書

一、鎌田敬(昭和五六年三月六日付)、渡辺怜之(昭和五六年三月四日付、同月五日付)、森脇平(昭和五六年三月五日付)、加川公子、黒目武(昭和五六年二月一〇日付)、河崎肇(昭和五五年一二月一六日付)、山田隆の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一、山陰合同銀行岸本支店長柴田昭夫作処の証明書

一、大蔵事務官作成の調査事績報告書(検三三号、三五号、四八号、五八号、七八号) 一、大蔵事務官作成の脱税額計算書(昭和五四年度の分)

一、押収にかかる決算調整資料等一綴(昭和五六年押第六九号の五)、袋入決算関係書類(一五期)七袋(同号の六)、総勘定元帳一冊(同号の七)、'78プログラム一冊(同号の一〇)

判示第三の事実につき

一、被告人河原の検察官に対する昭和五六年七月二九日付供述調書(一六枚の分)

一、東洋コンクリート株式会社総務部長大嶺秀夫作成の証明書

一、大蔵事務官作成の調査事績報告書七通(検二九号、九五号、九六号、九七号、九八号、一〇一号、一〇三号)

一、大蔵事務官作成の脱税額計算書(昭和五五年度の分)

一、押収にかかる砂代メモ二枚(昭和五六年押第六九号の一二)、振替伝票綴一綴(同号の一三)、補助元帳一冊(同号の一四)、総勘定元帳一冊(同号の一五)

(法令の適用)

一、判示各事実

(1)  被告人河原

脱税に係る罰則の整備等を図るための国税関係法律の一部を改正する法律(昭和五六年法律五四号)附則五条、右法律五四号による改正前の法人税法一五九条一項(各懲役刑選択)

(2)  被告会社

法人税法一六四条一項、一五九条一項

二、併合罪

(1)  被告人河原

刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の最も重い判示第一の罪の刑に加重)

(2)  被告会社

同法四五条前段、四八条二項

三、執行猶予(被告人河原)

同法二五条一項

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 横山武男)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例